鳩頭の空中散歩

来るべき時が来た:薬学部定員削減

reseed.resemom.jp
www.mext.go.jp

一部ではよく知られている、薬学部の粉飾合格率問題。
文科省がとうとうキレた。

f:id:hatoatama:20210903230207p:plain
この図を検討会資料に出してくるあたり、文科省のブチギレ具合が分かる。

青いバーが、いわゆる「粉飾合格率」
オレンジのバーが、入学者数を母集団とした「真の合格率」
青いバーとオレンジのバーの差が小さいほど、留年率が低く粉飾をしていないことを示す。
「合格率は決して高くはないが留年率が低く6年できっちり出す大学」と
「留年・卒業延期を量産して国試受験者数を絞って合格率を粉飾する大学」
のどちらに行きたいか、受験生は考えとこう。
だいたい、入試偏差値35で入りやすいからといって国試合格基準がそこの大学向けに低くなるわけないから、上り坂がより急になるだけ。どだい、入れてくれる大学があるからって偏差値35で薬学部に行こうなんてほうが甘いってことをまず認識しなさい。実務実習で現場の薬剤師の先生方にも迷惑になるから、ほんとやめなさい。
そもそも、入れる大学のほうに問題があるんです。

前任校での最初の上司の教授は
「国試合格率と入試偏差値は関係ない」
と言っていた。
うん、粉飾合格率はね。
真の合格率で並べると、慶応大学を筆頭に第一薬科大学がビリと、綺麗に偏差値順に並びますよ。
(見た目の合格率)✕(進級率)≒(相対的な偏差値順)
という公式がほぼほぼ成り立ちます。
第一薬科大学とか、見た目の合格率も進級率も低いから、入試偏差値もダントツで低い。ここは「予備校模試でA判定を見てみたければ、理系なら第一薬科と志望校に書いてみるといい」と昔から言われているほど、色んな意味でヤバい。
学費もヤバいので、もしご子息が「成績ヤバいけど薬剤師になりたいから第一薬科大学に行きたい」って言い出したら、予備校に1年間投資して学力上げるほうを考えたほうがいいですよ、マジで。6年間お布施するより軽傷で済むと思います。多分6年では済まないし。
そりゃね、国家試験に通れば慶応も第一薬科も、最低限の水準をクリアしたという意味で同じ薬剤師ですけどね。
第一薬科大学(というか、都築学園グループの薬科大学)出身」
って言ったら
「あー・・・(察し)」
って反応されるだろうね。
出身大学で格付けするのは下衆いことではあるけど、現実的にそういう大学ですよ、あそこは。

ざっと見て、バーの長さに差がありすぎる
・医療創生大学
九州保健福祉大学
青森大学
第一薬科大学
千葉科学大学
あたりは、あまりに「やっぱりね」感で思わず失笑さえする(まあ、このうち一つは実態を知ってるからだけど)。
薬学部教育からは離れたけど、女子大という性質もあってきっちり6年間で送り出す教育方針の大学と、粉飾しまくって合格率全国トップを謳う大学の両方を経験し、国試受験予備校化した底辺薬学部の薬学教育にたいがい嫌気がさした非薬学部出身の立場として、外から薬学教育を眺めるとなかなかおもしろい。

この検討会はしばらく注目しておこう。
どんな保身的な意見が飛び出るか。