鳩頭の空中散歩

データで見る坂道グループ(2023年3月版) その2

hatoatama.hatenablog.com
のつづき。

 乃木坂1期生が全員卒業した2023年2月27日時点の坂道Gメンバーの年齢と出身地の状況を整理したのが前回まで。

 乃木坂5期生・櫻坂3期生・日向坂4期生が加入し各グループ若返りが図られた。29歳に達していた秋元真夏は別として、残っていた1期生は加入時中学生組でまだ現役続投できる年齢で、それは2期生も同様だったが、1期・2期を一掃することが運営方針だったことが窺える。その結果、期別人数構成は大きく変化し、平均年齢は20歳まで下がった。
 櫻坂に関しては、2020年までの不穏なお家騒動を経て2期・新2期を中心とした体制に組み直す一環で改名したというのはよく知られるところだが、単に2期を中心に据えたというだけでなくグループのキャラクターの変更をうながした。2期・新2期生が関西出身者と九州出身者を多く含むことで、いわゆる「芸風」の変化を生じた。あるいはこれが意図だったのかもしれない。AKBおよび関連グループは、SKEやNMBを立ち上げることでAKBが東京ご当地アイドルグループという位置付けを明確にし、それに対抗する公式ライバルとしての乃木坂もやはり東京ご当地の性質の一貫性が出身地構成から見えた。それに対して、欅坂は東京への集中の度合いがやや低かったところに、関西・九州を中心とするメンバーの大量導入でご当地感の無いグループに変貌した。このことは諸刃の剣だろうが、筆者は好意的に見ている。一言で世代交代と言っても、「継承の乃木坂」「変革の櫻坂」の違いが見て取れる。
 日向坂も2022年は卒業が相次いだ。体調不良と周辺トラブルが原因といわれた柿崎芽実、やらかしで卒業した井口眞緒は半ば不本意な卒業と言えなくもないが、2022年は、けやき坂時代から中心的メンバーであった渡邉美穂、キャラが濃い日向坂メンバーの中にあって不動のぶりっ子キャラを確立していた宮田愛萌が相次いで卒業。詳しくはメンバー個別記事で触れたいが、アイドルになる条件が大学卒業だったという宮田愛萌は、アイドルになることが目的だった節が見え、意外にあっさり卒業しそうな気はしていた。筆者としては日向メンの中では一推しだったが、先に卒業した柿崎・井口と特に絡みが深かったメンバーなので、ふたりの卒業も心配の種だった。

 前回までの現役メンバーの状況整理を踏まえて、本記事では卒業に関連することを考察していく。

離脱動向

 まずは、前記事の最後に出した離脱動向について。

図1. 坂道全体の離脱動向

 2014年に最初の大量離脱危機、2018年に大きな危機を経て、2020年以降は大量離脱が続く。ただ、2014年時点では乃木坂しか存在していないので、「乃木坂って2014年がやばかった」ということしかわからない。そこで、積み上げグラフで見てみる。

図2. 離脱動向:グループ別積み上げ

 離脱状況解析で注意するのは長濱ねるの存在で、欅坂とけやき坂の兼任解除を「けやき坂離脱」とカウントしている。長濱ねるはけやき坂の兼任解除と欅坂卒業で、のべ2回離脱となっている。
 松井玲奈は「乃木坂2e期」とカウントし、兼任解除を離脱とカウントしている。「卒業」という言葉を使っていないのはこのため。平手友梨奈の「脱退」、活動辞退や契約解除も離脱としている。
 では、グループ別に見てみる。

乃木坂46
図3-1. 乃木坂46の離脱動向(積み上げ)
図3-2. 乃木坂46の離脱動向(四半期ごと)

 2014年の第一次離脱危機での離脱者は、もはや知らないファンがいても不思議ではない。2011年から活動を開始して、2014年当時はまたAKBの壁がはるか高くそびえていたので、活動に見切りをつけたメンバーもあるだろう。残存していれば主力になり得た年齢のメンバーもいる。契約解除が出たのもこの年。
 2018年の坂道グループ第二次大量離脱危機は間違いなく乃木坂の危機だった。この年、エース格筆頭の生駒里奈西野七瀬が相次いで卒業。前年には飛び抜けた美貌とキャラクターで根強い人気のあった橋本奈々未が卒業・芸能界引退、ハイパフォーマーとして知られた伊藤万理華が卒業。大物の卒業が続いた一方で、中元日芽香が爆弾を投下して卒業、はたして彼女の言葉通り、2018年には8人の大量離脱があった。
 この年、4期が加入する。4期は
「『教室では目立たないけどすげえ綺麗な子』が集まってわちゃわちゃしている」
という原点回帰を狙った節を感じる。遠藤さくらなんか、西野七瀬ファンをきっちり受け継いだなという感じがした。運営に強力にプッシュされる4期とエース筆頭格の卒業で、低空飛行組はいたたまれなくなるのも致し方なし。2018年離脱組には卒業後も活躍している準エース格もいる一方で、「そういえば居たな」と言われてしまいそうなメンバーがちらほら。
 個人的には川後陽菜は結構好きだった。
 2020年は白石麻衣卒業というインパクトがあったが、離脱人数自体は小康状態の時期。
 次の波は2021-2022年。言うまでもなく1期・2期の一掃がはじまったのがこの時期。ここらへんは記憶に新しいし、乃木坂ファンにとって胸が痛いだろう。全部振り返っていたら泣きそうなのでやめとく。
 2023年3月26日の秋元真夏の卒業、2023年3月28日の鈴木絢音の卒業をもって1期2期の一掃が完了する。
 乃木坂は大所帯のせいもあるけど、毎年ずるずると離脱者が出続けているのが、あまり好ましくない。

欅坂46・櫻坂46
図4-1. 欅坂46・櫻坂46の離脱動向(積み上げ)
図4-2. 欅坂46・櫻坂46の離脱動向(四半期ごと)

 2015年の離脱は活動辞退だから無視するとして、2018年に2期の加入と前後して3名離脱。欅坂は乃木坂のようなドサ回りをしておらず、2018年時点でヒットも出ているので「見切り離脱」ではないだろう。筆者はこの時期の欅坂をよく知らないが、離脱した3名を見ると「あー…」。ここらへんはよく知る人にお任せしたい。2019年の1名は長濱ねるなので、これは個別記事行き。
 改名というか、もはや「別グループとして櫻坂46発足」とも言えるのが2020年10月14日。2020年のグラフを緑色にしているのは、2020年の離脱者は全て「欅坂46からの離脱」だから。2020年の年明け早々に平手友梨奈ほか2名が離脱。欅坂46としての最終日に佐藤詩織が欅坂として卒業するまでに佐藤を含む3名が離脱。もはや多くを語るまい。
 乃木坂と同様、櫻坂になってからの2021年から2022年にかけて、1期の一掃がはじまる。新2期のキャラクターが明快なだけに、1期は冷や飯食わされているとしか思えない。冷や飯といえば、けやかけ2期生フィーチャー回でも露骨に冷遇されていた松平璃子が現在のところ2期唯一の卒業。ギスギスイメージがついてまわった欅坂の良心とも言える柔和な人柄で親しまれたキャプテン菅井友香は、ファンのマナーの悪さが炎上したのを消火するために卒業させられたとまで言われるほど、運営のメンバーへの扱いがひどいイメージが拭えない。
 個人的には、平手友梨奈脱退後のグループのカラーはかなり好きなんだが、平手カラーが好きだったファンには違和感が大きいだろう。期ごとのカラーの違いが大きすぎるのも問題。新2期で頭角が顕れている大園・大沼・増本は、キャラ的に日向坂に居てもおかしくない。商業的には変革はあまりうまくいっていない気がする。2期の関有美子が卒業を発表しているが、1期の残存5人も年齢的に一掃が近いかもしれない。

けやき坂46・日向坂46
図5-1. けやき坂46・日向坂46の離脱動向(積み上げ)
図5-1. けやき坂46・日向坂46の離脱動向(四半期ごと)

 ここは世代交代が生じていないので特に見るべきところはない。2017年の離脱は長濱ねる。その後の離脱者は4人でグループ傾向を見れるものでもないので、個別記事行き。最初の卒業生となった柿崎芽実は、活動辞退を除けば坂道グループ最年少卒業生で、最初の21世紀生まれの卒業生だったことが特筆できることくらいか。井口眞緒は、つくづく惜しい人材だったと思う。
 上の方でも書いたが、宮田愛萌はあっさりと卒業しそうな気がしていたので、渡邉美穂のほうが意外だった。むしろ小坂菜緒の休養そのまま卒業の可能性を心配していた。
 影山優佳が卒業を発表しているが、日向坂は年齢構成が意外に高めなので、他に卒業が心配なメンバーもちらほらと居る。



というわけで、ここまではただグラフを見ただけ。
「データで見る坂道グループ」の締めは、
何歳で入って何年続けて何年で辞めるか
という点に注目して考察してみようと思う。

<その3に続く>